P-No.440 乳牛一人旅
行き先判定
パーティイベント:プロローグ
イベントエリア:王都ケーベルグ / ポルカム広場
平和の象徴として建立された巨大な噴水のある広場だ。
多くの人々にとって憩いの場として機能している。
今日は世界各地を回っているバルタン族の踊り子たち──「純白の翼」と呼ばれる一座がいた。
彼女たちの踊りは、目を通して安らぎを与えるだけでなく、彼女たち自身に振りまいている香水の香りもまた、観客に安らぎを与えていた。
だが、今日の一座の舞台には、いつもの香水の香りがなかった。
踊り子達の踊りに観客は拍手するものの、そこにはどこか、覇気がない…。
観客達が立ち去った後、一座の長が溜息をついた。
一座の長ルシア
「どうしたものかねぇ。
あぁ、あんた。ちょっと仕事をする気はないかい?」
頷くとルシアもまた、頷いた。
一座の長ルシア
「助かるよ。
あんたには、古き時代の景色残す路って知っているかい?
ああ、キエフ渓谷にあるんだけどね。
その先にある丘から、こいつを採ってきてくれないかい」
ルシアは懐から白い小さな花のドライフラワーを取り出した。
一座の長ルシア
「マールの花っていうんだ。
……本当はあたしらでも採れるような場所だったんだけどね。
最近は魔物の活動が活発で、あたしらじゃ手に負えなくなってしまったのさ。
それじゃ、頼んだよ。期待しているからね」
ダブルマーク イベントエリア:王都ケーベルグ / 冒険者ギルド王国支部
ぼりぼりぼりぼり。
冒険者ギルドの王国支部に入ると、まず最初に聞こえてきたのはその音だった。
音のする方を見ると、猫のような細長い尻尾をゆらゆらとさせながら、一人のライカンスの女性が、菓子……ビスケットだろう……を頬張っていた。
ギルドの中には、今は彼女しかいない。
ライカンスの女性
「んぐっ。
あー?
なに、あんた?
あ、もしかして、何かの勧誘ってわけ?
あーはいはい、帰って帰って。
本部がケチだから、あたし、これを自費で買わなきゃいけなかったんだから」
そう言って、自分が食べているビスケットを指さす。
……それは当然では?
そう思ったが、口には出さずにしておく。
ひとしきり、ビスケットとジュースを飲み終えると、再び、こちらを見てきた。
ライカンスの女性
「……だから、勧誘はいらないんだけど?
聞こえてますか~?」
???
「あっ、すいません、通していただけますか?」
振り返ると、丁度、入り口から両手に袋を抱えた若い男性が入ってきた。
どこか、子犬のような印象のある男性だった。
ライカンスの女性
「ちょっと、ビリー、遅いよ!
いつまで待たせる気?
もう食べ終わっちゃったんだけど?」
ビリーと呼ばれた男性
「って、もう食べ終わったの?
いつもながら速いね……。
って、ミラ、こちらの方は?」
ミラと呼ばれた女性
「知らない。
勧誘じゃないの」
ビリーと呼ばれた男性
「し、知らないって……。
あ、あの、失礼ですが、あなた方は、いったい?」
ビリーと呼ばれた男性に、冒険者であると告げると、彼は両手に抱えていた袋を落とした。
ビリーと呼ばれた男性
「ぼ、冒険者の方!?
ちょっと、ミラ!」
ミラと呼ばれた女性
「ビリー!
あんたねぇ、あたしの菓子、落とすんじゃないよ!!」
ミラと呼ばれた女性の剣幕に、ビリーは狼狽した。
ミラと呼ばれた女性
「あたしの菓子と冒険者、どっちが大事なわけ!?」
ビリーと呼ばれた男性
「ンな無茶な比較!?
それに、僕達の仕事は……」
ミラと呼ばれた女性
「いい訳は聞かない!
だいたい、いつもあんたは……」
……1時間後。
ビリーと呼ばれた男性
「すいません、待たせちゃって」
結局。
ミラは散々まくし立てた後、ビリーの買ってきた菓子をまた頬張りはじめた。
横から「ぼりぼり」と聞こえてくるのは気のせいではない。
受付ビリー
「えぇっと、依頼の確認ですよね。
えーっと、頼めそうなものは……これかな。
セントフォーレの森って、知ってますか?
あ、ファーネルからの冒険者の方なら知ってるかな、通ってきたところです。
あそこの妖かしの森と呼ばれる場所に、最近、モンスターというか、妖魔というか、ともかく、何かが住み着いてしまったようなんです。
これを駆除して欲しい、というのが、今回の依頼です」
ぼりぼり。
ビリーが説明している間にも、音は響く。
受付ビリー
「報酬はすでにギルドが代行して受け取っていますので、依頼が完遂次第、現場をこれで、撮ってきてください」
そう言って、ビリーはカメラを手渡してきた。
受付ビリー
「十分だと思ったら、それで撮った写真を持ってきていただければ、成果に応じて報酬を支払います。
ただ、あまり無理はしないでくださいね。
かなり強力な魔物もいるようなので……。
そういう相手には、それなりの腕を持った方に頼みますから。
では、よろしくお願いします」
受付ミラ
「ビリー、紅茶いれてー」
受付ビリー
「えっ!?
はいはい……
あ、地図は忘れずに持っていってくださいね!
それじゃ、よろしくお願いします!」
そう言って、ビリーはミラの紅茶を入れに向かった。
ギルドのカメラを手に入れた。
