P-No.220 篠山一家のユカイな一日・再来

行き先判定

パーティイベント:プロローグ

イベントエリア:王都ケーベルグ / 冒険者ギルド王国支部

ぼりぼり。

王国支部に、いつも通りの、音が響いていた。
音のする方を見ると、猫のような細長い尻尾をゆらゆらとさせたミラが、菓子を頬張っていた。

ギルドの中には、彼女しかいないようだった。

受付ミラ
「あー?
 んぐっ。
 なに、もしかして……仕事さがしてんの?」

半眼でこちらを見てくる。
何か、気に入らなかったのだろうか。

受付ビリー
「あっ、探しましたよ、みなさん!」

丁度、ギルドからビリーが入ってきた。

受付ビリー
「って、ミラ!
 僕が出かける前に言っておいたじゃないか。
 探してるって……」

受付ミラ
「だって興味ないし。
 だいたい、あんた買ってきたわけ?
 あたしのお菓子」

受付ビリー
「か、買ってきたけど……」

ビリーの言葉に、黙ってミラは手を突き出す。
その手にそっと買ってきた菓子の入った袋を手渡すと、ミラは奥へと引っ込んでしまった。
……食べる音が聞こえることから、どうやら食べているらしい。

受付ビリー
「はぁ。なんだか、すいません……。
 あっ、それで、ですね。
 みなさんに、城……ルデンシュタット城・謁見の間に来てほしいとのことです。
 なんでも、大事な話があるとかで……」

ダブルマーク イベントエリア:王都ケーベルグ / ルデンシュタット城・謁見の間

カツカツカツカツ。

どこか、いらついているかのような足音が、大理石が敷き詰められた謁見の間に響いた。
王の姿は見えない。
噂によれば、ネルヴァリア王国の国王ケルガーは、現地へ直接赴くことが多いため、あまり城にはいないらしい。

作業着を着た男性
「貴様らか、ギルド推薦の冒険者、というのは」

足音の正体は彼のようだった。
作業着を着た、眼鏡をかけた男性だ。
種族は……ヒュームだろうか。

作業着を着た男性
「ふン。
 ライカンスの国であるネルヴァリア王国に、わしのようなヒュームがいてはおかしいか?
 まあいい、仕事の話をするとしよう。
 わしは技術顧問のエドワードだ。
 飛行船は知っているな?
 時折、上空を飛ンでいるのを見たことがあるだろう?
 まあ、なくともかまわンが。
 あれのエネルギーには飛空石と呼ばれる石を使っている。
 だが、今は在庫を切らしていてな、修理ができないのだ。
 そこで、貴様ら冒険者に、飛空石を手に入れてこいというわけだ。
 なに、どこにあるのか、だと?
 エルダリア鉱山天駆の穴だ。
 わかったら、つるはしを持ってさっさと取ってこい!」

追い出すように、エドワードは手を振った。
飛空石を手に入れ、もう一度、ここに来るとしよう。